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「ほねつぎ」って何ですか? 【2】

" 整骨院にまつわる疑問 "

2016年4月4日

接骨院が増え続けている理由

現在、「接骨院(整骨院)」の数は全国的に急増しています。あなたも、最近「接骨院」が増えたなーって感じているのではないでしょうか。その背景には柔道整復師を養成する専門学校が急増し、年々「柔道整復師」が増えているからです。sample

 

1998年のある裁判をきっかけに規制緩和となり、柔道整復師を養成する専門学校の数が急増することになりました。1998年には全国で14校だった専門学校が2013年の時点で107校となり、今では年間で6,000人の柔道整復師が誕生しています。

 

世間から必要に迫られて(柔道整復師不足)養成学校が増えたのであれば問題はありません。しかし、そうではなく学校を創設させる側の人たちのビジネスとして、柔道整復師養成の専門学校に白羽の矢が立ったのです。

 

もうすでに、柔道整復師の数は過剰だと言ってよいでしょう。専門学校も定員割れが当たり前になり、教育の質も低下することが懸念されています。

 

実際、私が今から10年前に柔道整復師養成の専門学校に入ろうと決め、資料請求を3~4校から行いましたが、そのうちの1校からは電話があり、ぜひ入学してほしいと懇願されてしまいました。(結局、その学校には入学しませんでしたが)

柔道整復師の魅力(いや、ホンネ⁉)

前回の記事(「ほねつぎ」ってなんですか?【1】)の冒頭で「ほねつぎ」は柔道整復師の行う技術の一つと書きましたが、もう大きな声で「ほねつぎ」が柔道整復師の仕事の一つである、とは言いづらくなっています。なぜなら実際に骨折や脱臼の施術に関わる機会がほとんどないからです。

 

ビックリしないでください。柔道整復師の資格を取って6年になる私(谷口)は、これまで骨折や脱臼の整復をしたことが一度もありません。と、その前に目の前でそのようなケガをした人を直接見たことすらありません。

 

ですから、当院に「肩を脱臼しましたー!」と来院されましても、速やかに整形外科に紹介することになります。

 

このような理由から、「私は柔道整復師です。」と言いたくない気持ちもあります。では、なぜ需要の少ない「骨折・脱臼」の整復を主に勉強する柔道整復師の専門学校に入ったのか?ここからは私を含め、年間6,000名も誕生している柔道整復師のホンネの部分を話します。

 

それは、保険です。

 

柔道整復師は健康保険での施術が比較的容易に行える環境にあるからです。医師ではない医療従事者(看護師、理学療法士、鍼灸師・・)で開業権のある資格の中では、医師の次に健康保険の取り扱いが容易なのです。

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柔道整復師については、例外的な取扱いとして、施術を受けた方が一部負担金分を柔道整復師に支払い、柔道整復師がその方に代わって残りの金額を保険者に請求する「受領委任」という制度が認められています。

 

この制度のおかげで、お客様は医院にかかることと同じ感覚(1~3割負担)で整骨院を受診することができます。このような理由から、整骨院の先生になることで安定的に来院者数が見込め、収入が安定するのではないかと考えるのです。

 

私もその一人でした。鍼灸師となり、病院勤務を5年ほど続けたのですが、将来独立することを考えると当時の技術ではとても自信が持てませんでした。ちょうどそのころ結婚したこともあり、私は「安定収入」という4文字を追い求め、保険の取り扱いが容易に行える柔道整復師を目指したのです。

 

整骨院の数が少ない時代(昭和)は接骨院を開業すれば、お客さんが勝手に集まってくる。そんな武勇伝はベテラン柔道整復師の方々から聞いたこともあります。

 

しかし、平成に入り年々増え続ける柔道整復師が独立開業することで、当然競合します。今ではコンビニや歯科医院にも負けないくらい、街を歩けば整骨院がいたるところにあります。さらに、柔道整復に保障されていた「健康保険取り扱い」も少しずつ規制が厳しくなっています。

柔道整復師の「ほねつぎ」を受けるメリット

それでも、骨折や脱臼の整復技術を身につける目的で柔道整復師になる方もいますし、そのような柔道整復師を必要とする現場もあります。

 

柔道整復師が骨折や脱臼の整復をすることのメリットとしては、

①皮膚の上から骨を元の位置に戻るよう整復をするので、ダメージが少ない

→非観血的療法といい、メスで切ることもないので血が出ません。出血による感染のリスクがなく、軟部組織への侵襲が少なく済むので体にとって優しい施術と言えます。

②屋外でも応急処置が受けられる

→院内だけでなく、スポーツの現場などで起こる骨折や脱臼に対して応急処置が受けられます。

しかし、現実的に考えて「骨折・脱臼」などの大ケガをした場合、救急車を呼ぶことになるか総合病院や整形外科に向かうと選択するでしょう。冷静な頭で対処できるとは限りません。

「ほねつぎ」ができる?接骨院 3つのチェックポイント

そんな時、「そうだ!整骨院へ行こう。」と考える希少な人のために、「ほねつぎ」が得意だと思われる可能性が高い接骨院の見つけ方を3つご紹介します。ここでは、あくまでもウェブサイトやブログなどの情報から見極める方法となります。

 

1. ブログにケガ(捻挫など)の症例や写真が多数ある

日々の施術などを記録している場合、捻挫や脱臼の固定(包帯、テーピング、シーネ)の写真などコメント付きで書かれています。

 

281642よくある日常の風景なのか、ごく稀にしかないケースを紹介しているのか、文章だけで判断することは難しいかもしれませんが、固定の写真が多数ある場合、整復することや固定技術を高めることが得意な先生だと予想できます。

 

ポイントはブログに記録していることです。ウェブサイトに整復や固定の記事や写真が載せてあっても、日々の臨床では整復をしていない場合があります。(電気療法とマッサージが中心であったり)ですので、日常の施術風景が伝わるブログ記事に症例や写真が載せてあることもポイントです。

 

※知り合いの先生のブログ記事を紹介します。同業から見ても、この先生は「ほねつぎ」できるんだろうなと思える記事です。→ 広田接骨院院長のブログ

2. 先生自身が武術や格闘技をしている(柔道、空手など)

先生自身が柔道や空手、格闘技などをされている場合、骨折や脱臼に遭遇する頻度も高く275047なります。自身の経験から、「ほねつぎ」に興味を持ち柔道整復師を目指される方も多くいます。実際に骨折や脱臼を目にする機会があるだけでも大きなアドバンテージといえます。

3. 柔道大会の救護班として活躍している

ズバリ、私が一番簡単に見分けられると思うのは、柔道大会で救護班として活躍している柔道整復師です。救護班は、スポーツ大会で選手がけがをした場合に早急に手当てが受けられるよう、医師を含む医療従事者が大会の現場に設置されます。

 

なぜ柔道大会に限定したかと言いますと、柔道では肩関節や肘関節の脱臼が起こりやすいからです。脱臼の整復を迫られる可能性の高い現場に身を置くわけですから、それなりの技術や自信がなければ救護班として活動できません。

 

また、柔道整復の技術は実際にケガをした生身の人間に施術することで磨かれます。専門学校の授業では、けがをしていない学生同士で骨折や脱臼の整復動作を練習しますが、実際の微妙な整復方法が身に付くとは思えません。だからといって整復を覚えるために骨折や脱臼を起こせませんからね。頭ではわかっていても体では実際の動きを身につけられません。

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また、スポーツトレーナーとして活躍しているという表記もよく目にします。主に球技(野球、サッカー、バスケットボール、テニス、などなど)のトレーナーとして活動する場合が多いようです。業務としてもテーピングやマッサージ系のケアが中心となり、骨折や脱臼の整復の出番はほとんどありません。

 

柔道(武道)大会の救護班とスポーツトレーナー活動では内容が異なります。「ほねつぎ」ができるというキーワードで言えば、救護班の経験がポイントです。

接骨院には2つのタイプがある

上に示した3つのポイントをすべてクリアしていれば、「ほねつぎ」が得意な接骨院である確率は高いでしょう。しかし、3つ当てはまる院はなかなかありません。そうなんです、実際に少ないのですから簡単には見つかりません。

 

もしかすると、あなたの地域には皆無かもしれません。骨折や脱臼の整復ではなく、後療法という名のマッサージで保険適用の施術がしたい柔道整復師が今後も増え続けるでしょう。母数が大きくなればなるほど、「ほねつぎ」ができる接骨院を探すのは余計に困難となります。

 

ただ、骨折や脱臼でなくとも、関節の捻挫などちょっとしたケガで接骨院にかかることは施術を受ける側にも大きなメリットはあります。整形外科では湿布と鎮痛剤の処方で「様子をみてください。」と言われるケースでも、接骨院であれば適切な整復や固定で回復までのスピードを格段に上げることもできます。

 

今回の記事では「ほねつぎ」ができない接骨院を否定しているわけではありません。人間に得手不得手があるように、接骨院にも得意分野と不得意分野があります。世の接骨院(整骨院)には2つの種類があることをお伝えし、その上であなたが今後受診するかもしれない接骨院を選んでほしいのです。

 

 

1.整復や固定の施術が中心で、ケガをした人が集う接骨院

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2.マッサージ施術が中心で、慰安的要素を求める人が集う接骨院

 

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そして、「ほねつぎ」ができる接骨院はタイプ1です。タイプ2の接骨院では骨折・脱臼を得意としていないと思われます。日々の臨床で使っていない技術が急患の来院で都合よく発揮できるとは考えにくいからです。

 

例えるならば、野球の練習は全くしないけど、試合ではホームラン打ちます!と言ってるようなものだからです。打てるはずがありません。

最後に

おまけの情報です。

 

今回の記事を書くにあたり、「ほねつぎ」というキーワードで検索をしたところ、院名に「ほねつぎ」を入れている接骨院が意外にも多いことに気が付きました。

 

「ほねつぎ○○接骨院」「○○ほねつぎ堂」など。院名に「ほねつぎ」が付いていても「ほねつぎ」ができるとは限りません。お気をつけください。

 

 

【関連記事】

「ほねつぎ」って何ですか?(1)

この記事を書いた人

鍼灸院めぐる 院長

2010年「鍼灸整骨院めぐる」を開業。同年、活法に出会い衝撃を受ける。2016年に根本的な施術を目指し保険での柔道整復施術を停止する。「鍼灸院めぐる」に改名。スタッフと2名で鍼灸専門として日々奮闘中。気ままなブログ「はりパパ日記」もたまに更新中。

 

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